ヨンフォアの定番モディファイに、点火系のアップデートがある。
元はポイント点火式なのを、社外品のキットを用いてトランジスタ(フルトラ)化し、メインテナンスフリー、安定化などの恩恵を得ようというものだ。有名なのはダイナとウオタニで、愛用している人も多い。
もちろん、純正のポイント方式も、しっかり整備さえしてあれば安定している。
個人的にはそれで充分と思って、ちょこちょこと調整しながら、数年前まではポイント式のままで乗り続けてきた。接点やコンデンサー等の消耗品も純正新品が(一応)手に入るし、フルトラ式のように突然パンクして走行不能になることは少なく、故障に強いという利点もある。
そしてもう一つ。フルトラとポイント式の中間的な存在に、セミトランジスタ(セミトラ)方式というものがある。最近のヨンフォアの世界(?)ではあまり話題にならないが、他の旧車では割とポピュラーなアップデート方法だ。
セミトラ式では、コイルの電流をオンオフする仕事を、ポイントからトランジスタに置き換える。これはフルトラ式と同じなのだが、点火タイミングの信号取りだしは、純正のポイント+ガバナーをそのまま用いる。半分はメカニカル、半分はトランジスタ方式=セミトラ方式、ということなのだろう。
そう、うちのヨンフォア・雪国号には、セミトラを導入してあるんです。稼働してからすでに約3年が過ぎてるんだけど、点火系はノントラブルでとても調子が良い。なので、せっかくだからここで記事にしておこうと思ったわけです。
セミトラ式の利点としては、おおよそ以下の点が考えられる。
1)ポイントに流れる電流が僅かなので、接点やコンデンサーが概ねメンテフリーとなる。
2)信号の強弱が発電量(=エンジン回転数)に依存しないので、特に低回転時の挙動が改善され、パワーアップやエンジンの安定化につながる。
3)ポイント〜IGコイルの間に割り込ませるだけなので、設置が簡単。
4)故障した場合、簡単に元のポイント点火式に戻せる。
5)ユニットが比較的小さいので、搭載スペースを確保しやすい。
6)比較的低コストで導入できる。
1、2はポイント式に対して優位な点で、フルトラ式も同様のメリットがある。3〜6はセミトラ式がフルトラ式よりも優位な点だ。
デメリットとしては、個人的には特に無いと思うのだが、CDI点火式の経験しかなく、とにかくメンテフリーが安心という人だと、ポイントがある(=ポイントギャップ調整、ガバナーへの注油等のメンテが必要になる)だけでもマイナスかもしれないので、フルトラ式を選んだ方が良い…というのがひとつ。
そして、有名メーカーの製品がないのが、純正のポイントやフルトラ式に比べての一番のデメリットかもしれない。今のところCB400F対応を謳った有名製品がないので、ヨンフォア乗りには馴染みにくく、そのためあまり普及していないと思われる。
ところで、自分はCB400Fのほかに、もう一台のバイクに乗っている。
それはカワサキW1SAというバイクで、この機種ではセミトラ式へのアップデートがポピュラーなのだ。W1系ではよく知られていて、安定性に定評あるセミトラユニットが、そのままヨンフォアに使えることに気付いたのが、ヨンフォアにセミトラを導入しようと思った理由だ。
…というか、W1用に買っておいたセミトラユニットが一つ余っていたので、ヨンフォアに搭載してみたらとても良かっただけの話なんですが(笑)
長くなってきたので次回に続きます。(つづく)
※最初の写真、ツールトレイに入っている黒い小さな箱、それがセミトラユニットです。基本的に加える部品はそれだけ。