CB400F・個人的探求の記録

憧れだったCB400Fに乗って15年が過ぎた…が、いつまでたってもエキスパートからはほど遠い、筆者のつれづれを綴る。とにかくノーマルのヨンフォアが好き。外観に影響を及ぼさないアップデートが好き。

CB400F・“辰巳本”(「CB400FOUR 甦る’70年代の伝説“ヨンフォア”のすべて」)について

CB400F・ヨンフォアはホンダの旧車の中でもそれなりに有名で、バイク史上に名前を残している車種だ(…たぶん)。なのに、このバイクについての本がとても少ない。雑誌の特集記事も(突っ込んだ内容のものは)あまりなく、ヨンフォアだけについて書かれた本はたった一冊しかない。

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それは辰巳出版の「CB400FOUR 甦る’70年代の伝説“ヨンフォア”のすべて」。1995年のリリースで、定価は2000円とある。これが令和に入った現在、古本は8000円〜15000円程度の高値で取引されている。他にないから仕方ない(?)とはいえ、あまりに高価でちょっとびっくり。自分が買ったのは2007年頃で、確か5000円位だったような……。

どんな本なのか、ネット上にあまり記事がなかったので(Y/A等の商品写真が散見される程度)、久しぶりに引っぱり出して、レビュー的に見ていこうと思う。

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こんな感じで、最初はホンダコレクションホールにあるCB400Fの全体〜細部のディテールが載せられている。これは国内向け408ccの1号機、車体番号はCB400F- 1000001だったはず。写真のクオリティは最高に素晴らしく、いい仕事してます。

ホンダが資料用に撮ったモノを借りたんじゃないのかな。カメラマンはカタログなんかを撮ってるベテランを起用したか。この時代だと当然ポジだよな、135判じゃなくて中判か??なんてまじまじと見てしまったり。

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割としつこく、細かく迫っている。とてもわかりやすい。

これが整備中にケーブルやハーネスの取り回しがわからなくなって「あれ?なんだっけ??」と困った時に参考になるのだ。レストア済みの車両で、ホンダ所有とはいえ若干の間違いがあるみたいなので、これだけを信じない方がいいのかもだが、とにかく写真が鮮明でわかりやすいのは助かる。

アオシマのプラモをディテールアップしたい(けど実車が近場にない)人には大いに役に立ちそう。資料としては高価すぎるので、わざわざ買わないだろうけど(笑)

※この車両はいまも展示車両として収蔵されており、その後さらにレストアされているようだ。この写真の頃の方がオリジナルに近いのかな。

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からのエンジンの分解コーナー。
これはかなり大雑把なのと、ただざっくりとバラしただけで汚く、あまり役に立たなそうで惜しい。突然ガクっとクオリティが落ちる感じ(笑) サンプルは後のインプレコーナーで使っている逆車408ccのエンジン。

どうせバラすなら国内向け初期のノンレス車にする(←無理か…)とか、レストアしてエンジンを組むところを見せるとか、なんなら初期のNOS部品とか後期の稀少な砂型部品なんかを詳細にレポートして欲しいところ。辰巳本の時代では無理があったんだろうけど、それにしても内容が薄い。この本の一番の弱点はここだな。

※その後Z1とかCB750four(とかSRとかC100とか)なら、雑誌特集でかなり突っ込んだマニアックな記事もあったのに……ヨンフォアはそういう紹介のされかたは一切されてないのが悲しい。また、(趣旨は少し違うが)例えばカワサキW1には分解〜レストアを詳細に解説した素晴らしい本が存在する。有名マニア2人が持てる知識を総動員し、編集部が組んでいく様子にツッコミを入れているので、驚くほど内容が濃い。こんな本、フォアにもあったら最高だけど…まあ無理だろうな…。

そして日本版のカタログ二種を収録紹介、

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お決まりの開発についての記事。バイカーズステーションの特集号(2003年10月号)の同種記事もよかったが、この辰巳本は関係者インタビューが充実していて面白かった

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そしてインプレ……は割とどうでもよかった(笑) インプレはバイカーズステーションの特集号が流石という感じで良かったです。

辰巳本のサンプル車両は、何故か逆車408cc'の77年モデルという謎選択で、しかもノンレス。今から25年も前だし、それでもそこそこ調子が出せたのか??と余計な心配をしてしまう。

あと時代背景、CB-Fの系譜紹介とか、

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関係者インタビューとか。1995年の本なので、今では話が聞けなそうな人も出てくるのも面白い。ご当人方の記憶も鮮明だろうし。

おなじみアゲインの松永社長さん↑も載っています。めちゃくちゃ若い(笑)。この頃は30歳前後でしょうか、血気盛んな若者って感じ。見出しに「ヨンフォアといえばアゲイン、そう呼ばれるようになりたい」ってありますが…なってます、なってます! このインタビューは記事広告ではないみたいで、そのせいか話が自然でいい。ショップオーナーさんの紹介記事は広告が絡むことが多いから、こういうのは貴重かも。写ってるフォアは有名な「ヤザワ号」だ。
巻末に近づくと社外部品とか(ガゼルが多くて時代を感じる)、

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そういえばこんなデータ↓が載っていた。うちのフォアとは関係ないけど、他であまり見ない表(Haynes本にあった?)なので興味深かった。

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そしてパーツリストが全収録されている(整備用のデータ諸元も含む)。これは408cc用の初版かな? どうせなら398ccも含んでる最終版にしてほしかったけど、おそらく判型の問題で仕方なかったのだと思われる。


……と、「CB400FOUR 甦る’70年代の伝説“ヨンフォア”のすべて」はこんな本でした。
※もちろん紹介してない記事もあるので念のため。コラムとか、整備について(←オイル交換レベル。めちゃくちゃ内容が薄くて、オマケ程度)とか色々。

'90年代らしく(?)アッサリとした編集で、ちょっと物足りない部分があるのと、やっぱり内容的に古いな〜という記述も多い。個人的には、面白いけど10,000円以上出してでも買わないと駄目!という内容ではない気がする。


この本しか専門書が存在しないというのはあまりに寂しいので、どこかの会社が令和現在の情報を満載した新刊を出さないだろうか。車両写真は、この本で使ってるのと同じデータをホンダから借りてくるだけで充分!だから楽ですよ。アオシマのプラモがアゲインさんの監修で作られたように、あそことあそこのショップに協力をお願いして……とか、妄想は膨らむじゃないですか。作るならカメラマンやりますよ! 何しろ手元に整備済みの実車とかタンク3色分とか大量のストックパーツなんかがあるから、そのへんのカメラマンより融通効きまくりです!!……って誰に向かって話してるんだ(笑)。 でもまあ……出版不況のいま、状況は厳しいだろうなあ。ある程度売れると思うんだけどな……。

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おしまい。